海外口座開設

書店に行くと海外口座を使った財テク本が何冊も並んでいる。一部では「海外投資の受け皿として、無税のオフショアを活用した究極の節税法」と注目されているようだ。確かに一般のビジネスマンでも口座は開設できる。しかし、合法的に活用する限りにおいては、海外口座を開く意味はほとんどない。


最も注意すべき点は、日本に居住している人は、国外で得た利子などの金融所得についても日本と同じ所得区分で課税されること。具体的には、利子所得は源泉分離課税が適用されずに総合課税となり、他の収入と合算して確定申告する。

たとえば年収2000万円以下の給与所得者が、(1)勤務先が1つで年末調整を終え、(20)給与所得と退職所得以外の所得が20万円以下だと申告は不要。つまりごく普通のビジネスマンだと、海外口座で得た利子所得が20万円夙下なら実質非課税扱いとなる。利子に対する税率は20%なので、最大「20万円×0.2=4万円」の節税効果を得られることになる。

しかし、口座開設のコストや労力を考えると、その節税効果は薄れてしまう。どの銀行を選ぶかだが、
(1)利子課税がないオフショアである、
(2)インターネットを介して日本国内にいながら手続きができる、
(3)日本人の口座開設者が多く日本人向けサポートが充実している
などが条件になる。

英国領・ジャージー島の「Abbey International」ではネットで口座開設申込書をダウンロードできるし、日本語で説明した書籍も販売されているのだが、実際に大変なのはここから。本人確認用のパスポートの写しを弁護士などに認証してもらう。後で銀行から確認の電話が入ることがあり、英語で対応できる弁護士などでなくてはならない。

なかには認証を含めた開設サポートの料金が5万2500円(税込み)もするものもある。そして、必要書類を送り終えてほっとしたのも束の間、新たな難関が待ち構え
ている。開設者自身が直接銀行に電話で登録手続きを行う「アクティベーション」
だ。「生年月日」など書類に記入したことを英語で確認されるのだが、結構しんどい。当然、その後のトラブル解決にも英語力は必要となる。

それだけお金と時間と労力をかけても、得られる節税効果が年間最大4万円なら、割に合わないのではないか。もちろん申告しなければ脱税行為につながる。なお銀行などは、200万円超の海外送金に対して税務署への届け出の義務がある。

相続対策を考えている人もいるはず。しかし、国外財産に日本の相続税、贈与税が課税されない条件は、相続・贈与時までの5年問、当事者両方とも日本に一度も住所を有していないこと。やはり一般のビジネスマンには縁遠い話だろう。


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