退職金専用商品
八桁(数千万円)にも及ぶ退職金は、多くの人にとって人生で初めて手にする大金だ。そのため運用先を決めないと落ち着かないという人や、「投資するのは知的なこと」と思い込み、リスク商品での運用を急ぐ人が出てきてしまう。そんな退職者心理に入り込んでくるのが、銀行などの金融機関が盛んに宣伝している「退職金専用」をうたう商品だ。
退職金を取り込む狙いがあるとはいえ、なぜ、6%もの高金利が提供できるのか。それはセットで購入する投資信託や外貨預金の手数料で金融機関側は十分、モトがとれるからだ。
投資信託購入のケースでは、おおむね2〜3%(別途消費税がかかる)の販売手数料がかかり、定期預金からの受け取り利息を大きく上回る。通常より大きな利息を手にできるが、それを上回る手数料を支払うことになるわけだ。高金利が提供されるのは3カ月といった短期であることも、しっかりと認識しておきたい。
さらに意識しておきたいのは、「退職金を受け取ったときが、投資に適した時期とは限らない」ということだ。株式投資なら相場の上昇局面、外貨投資なら円高時に始めるのがセオリーであり、タイミングを無視した投資は現実的ではない。好機を捉えるのは簡単ではないが、ならば一度にまとまった金額を投資するのではなく、時期を分けて、高値づかみを避ける「時間分散」を心掛けるべきだろう。
お勧めしたいのは、退職金専用に特別金利が付いた「一年定期預金」だ。退職金は年金を補完する大切なお金であることは言うまでもないが、毎月、どの程度を生活費に充てる必要があるかは、実際に年金生活を始めてみないとわからないものだ。給料が月ごとに支払われるサラリーマンとは違い、年金の受け取りは2カ月ごと。こうした生活の変化に慣れ、年金ではいくら足りないかを把握できるまでに1年はかかると見てほしい。
代表的な商品のひとつに挙げられるのが、三カ月定期預金とリスク商品をセットにしたもので、投資信託や外貨預金と同額まで、特別金利で定期預金への預け入れができる。メガバンクでは6%もの高金利を付けている例もあるし、リスク商品と預金の組み合わせは、利殖性追求と安全性確保という観点から、理に適っているようにも見える。
1年定期の満期がくる頃、いくらを、何年程度運用できるか、どれくらいリスクがとれるのかが想定でき、適した運用商品が見えてくる、というわけだ。
さらに高い金利を付けた3カ月定期もあるが、金利水準だけでなく、特別金利が適用される期問の長さも考慮し、どちらが有利かを判断したい。
まずは1年定期に預け、運用についてじっくりと考える。まとまったお金を手にして落ち着かない心を冷静にする、という効用も見逃せない。
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