個人向け国債
わが国の財政は800兆円を超える借金を抱え、GDPに占めるその割合は先進国中最悪の水準である。国の予算は約80兆円、そのうち税収などの歳入部分は約50兆円。残りの30兆円は借金、つまり国債等の発行により賄っている。
そうした借金苦の日本が発行する国債を購入するな、という警鐘もある。もし国が破綻してしまったら国債の利払いはもちろん、元本さえ戻ってこなくなる可能性があるからだ。それは元本を国が保証している人気商品の「個人向け国債」とて同じこと。国が破綻する可能性があるのだから個人向けを含めて国債は買わないほうがいい、という主張である。
はたして、日本が破綻する可能性は本当にあるのだろうか。2001年にデフォルト(債務不履行)したアルゼンチンの例と比較してみよう。
アルゼンチンの国債価格の暴落は、通貨であるペソの信用失墜が引き金となった。この主な原因として、
[1]財政赤字、
[2]貿易赤字、
[3]対外債務が膨大に膨らんだことが挙げられる。
[1]については、冒頭で述べた通り、日本も危険水域に達している。だが、
[2]と[3]については、明らかに異なる。
06年度の日本の貿易黒字額は、21兆2531億円。4年連続で過去最高を更新している。また、国債の多くを外国投資家が所有していたと言われるアルゼンチンに対し、日本国債の海外所有比率は5.8%にすぎない。
02年、格付け機関であるムーディーズが日本国債を発展途上国のボツワナ以下である「A2」(シングルA相当)とし、話題となった。しかし、今年の7月に、格付けの引き上げ方針を発表している。
すでに格上げを実施した格付け機関も多い。これは、日本が最悪期を脱し、景気の拡大を続けているためである。国の税収も増え、国債の発行額を抑えることが可能になってきた。現在、国が破綻するリスクは確実に減ってきているのだ。
手数料値下げで「短期解約」もOK
次に、他の運用商品と比較してみる。未曾有の投資ブームの続く中、株式、投信、外貨、REITなどと収益性を比較すると、直近の個人向け国債の利回りは、10年物(変動金利型)で1.01%(税引き前)、5年物(固定金利型)で1.5%(税引き前)なので、軍配はリスク商品、すなわち株式や外国債券などに上がるであろう。
しかし、お金の運用はリスクとリターンの理解が不可欠である。株式の高い収益率は株価の値下がりリスクとの裏返しであり、外国債券の高利回りは為替のリスクを抱えている。新興国の債券であれば、カントリーリスクの問題もある。要はリスクを多くとって積極運用するのか、安全策で貯めるのかの選択なのである。
リスクを相対的に考えた場合、変動金利で、元本保証となっている個人向け国債10年物はやはりお勧め商品である。
しかも、来年の4月より払戻手数料も20%値下げとなる。短期の保有で元本割れを起こす問題も解消されるわけだ。
もちろん、国債を保有するリスクがゼロであるとは言い切れない。ただ、仮に国が破綻した場合、国債だけでなく、預貯金も株式もすべて大打撃を受けるのだ。
アルゼンチンがデフォルトに陥ったとき、銀行で取り付け騒ぎが起こった。ひと月で預金総額の七%以上が引き出され、株式も大暴落したのである。日本の場合もそうなるだろう。銀行等が国債を20%以上保有しているため、国債が紙くずになったら金融界がパニック状態に陥ることは間違いない。国家の破綻時に、国債、預貯金、株式のどれが安全かなどと説いても無駄なのである。
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