ETF

ETF投資が静かに広がっている。一般に「ETF」と英語そのままで呼ばれる投資信託は、わが国に導入されたのが6年前。比較的新しい商品であるためか、目下、運用面で活用しているのは年金基金などの機関投資家が中心。個人投資家への浸透は、まだ本格的とはいえない。

しかしETFには、他の投資信託にはない、いろいろな利点が備わっている。特にネット取引になじんだ個人投資家にとって、個別株式とまったく同じスタイルで簡単に取引できる利便性がある。もっと個人に活用されてもよい投信だ。


ETFは英語の Exchange Traded Funds の頭文字をつなげたもの。一般に「上場型投信」といわれる。だが、これでは何のことか、もう一つわからない。

投資家から集めた資金を株式100%で運用する投信(株式ファンド)のうち、日経平均株価などの株式指標(株価インデックスという)にぴたっと沿って値動きするよう設計された投信のことを「インデックスファンド」と呼ぶ。従来から、こうしたタイプのインデックスファンドはいくつも販売されている。

しかしこれらのインデックスファンドには、いくつもの“欠陥”がある。1日の夕方に決まる一つの価格(基準価格)でしか売買できない、市場が開いているときに機動的に取引できない、信用取引の対象とならない、などだ。

そこで、従来型インデックスファンドの持つ欠陥をなくし、インデックスファンドの“上場版”として開発されたのがETFである。上場版であるから、個別銘柄の株式とまったく同じスタイルで値が動く。始値、高値、安値、終値の「四本値」があるし、相場が開いているときにはいつでも売買が可能。信用買い、カラ売りの対象としても使える。機能は従来からあるインデックスファンドと同じだが、取引上の利便性がぐんと改善された。

一般的な株式ファンドは「積極運用型投信」と呼ばれる。投信に張りついているファンド・マネジャーは毎日のように組み入れ銘柄を売買し、できるだけ良い運用成績をあげようとする。しかし実際には、大した成績を出せないものが多い。

「それでは、日経平均株価やトピックスと同じ動きをするだけでいい」と言う投資家もいるはずだ。そうした投資家に売られる商品、それがインデックスファンドである。そのメリットは、運用担当者が積極的に売買しないため、運用コストが安上がりで済むこと。「信託報酬」などの費用が低く抑えられる。

このメリットが、ETFでは一段と強められた形になっている。個人投資家は、売買コストが安く設定されたネット取引でETFを売買すれば、コスト面の有利さを実感できるはずだ。

特に個人が401k型企業年金や個人年金で資産形成を狙い、積み立て方式で長期運用をする場合に、ETFは理想的な商品といえる。運用期間が長いほど、売買上、管理上のコストの安さが運用成績の確保につながりやすいからだ。

ETFに欠点がないわけではない。それは、売買が簡単にできるため、利益(含み益)状態になった場合に投資家がすぐに売りたくなることである。逆に損失(含み損)状態になったときも、ETFは簡単に売れるためすぐに手放したくなる。

要するに、ETFを長期戦で活用しようとしても、ETFの持つ便利さがかえって邪魔になりかねない。物事はなかなかうまくいかないものである。もっとも、こうしたETFの持つ欠点は、ETFそのものの欠陥というよりも、「投資家個人の“心理”のなせる業が原因」というべきかもしれない。


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