郵便局の投信
民営化を控えた日本郵政公社では、2005五年10月に投資信託の販売を開始。当初5本だった投信は11本まで拡充され、販売実績も好調に推移している。
最も人気の高い「野村世界6資産分散投信」は、国内外の株式、債券、REITに投資する「バランス型」といわれるタイプで、今のバランス型人気の火付け役。郵政公社は投信ブーム牽引役の一つといえるまでに存在感を増している。
すでに販売チャネルもコールセンターやネットに広げているほか、10月には取扱局を1550局に拡大。国内最大の店舗網を生かし、09年度の販売残高目標を約4兆9000九億円に定めている。
郵政公社が投信に注力するのは、手数料を収益の柱に据えているからにほかならない。購入時に負担する「販売手数料」は全額、保有中に生じる「信託報酬」の一部も販売会社の取り分となる。販売手数料は安いものでも1.5%超であり、預かり資産を国債で運用するより有利、かつ値下がりリスクもないため、売るだけ儲かる仕組みになっているのだ。
もっとも営利目的の株式会社になる以上、経営の合理性を追求するのは当然のこと。むしろ郵便局が売っているから安心という認識を改め、商品そのものに魅力があるかを見極める賢明さが必要だ。
たとえば世界中の株式に投資する「日興五大陸株式ファンド」は、高成長が期待される新興国の株武も対象になっており、検討に値するだろう。
しかし今年6月に追加された「ターゲットイヤー型」(年数を経るごとに債券の比率を高め、安定重視の運用に切り替えられる)には首を傾げざるをえない。年齢を重ねるごとにリスク許容度が低くなるという資産運用のセオリーに沿っているようにみえ、販売員は説明しやすく、顧客の理解も得やすいだろうが、余裕資金の多寡によるリスク許容度の違い、将来の市場環境がどの程度反映されるかが不透明であり、万能な商品とは言い難い。
リスクは本来、投資家自身がコントロールすべきもの。安心して買える、長期で付き合う、といった郵便局のイメージに捉われたラインナップにも思えてくる。また運用方法に大きな違いがない別の投信が、証券会社や銀行などから、より低コストで提供されているケースもある。購入を検討する際には、投資対象が共通するその他の投信と、購入手数料や信託報酬、また騰落率(3カ月、1年など、一定期間の値上がり率)などを比較検討する必要がある。
商品を供給している運用会社には、郵政公杜が扱っているというステータスがもたらされ、信託報酬とともにそれが原動力になってか、公社が主催するおびただしい数のセミナーに講師を派遣。こういった機会を利用し、窓口で説明を受けることで投資スキルを上げ、慣れてきたら商品性を吟味する視点を持ちたい。
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